石名坂を南に下ると、広々とした田園地帯が展開している。茂宮川はこの田園地帯を流れ太平洋に注いでいる。この田園地帯は久慈川によってつくられた沖積平野で、標高は5m以下である。ここに、大和田町、茂宮町、神田町、下土木内町、留町など、日立市の南部の集落がある。
地域の人々は、肥沃な沖積土の田畑を丹精込めて耕し、すばらしい農作物を生産している。また、屋敷森に囲まれた大きな屋敷構えも、この地域の集落の特色である。
集落は、河道面より約3mほどの地高をもった、微高地上に立地している。かつて久慈川が氾濫したときに、河道からあふれた土砂が河道に沿って堆積した自然の高まりで、自然堤防と呼ばれる微高地である。微高地である自然堤防の所は氾濫時にも比較的安全であり、また砂質の土地であるため地盤も締まっている。人々はこのような土地を選んで住み、集落を形成してきた。
茂宮川は30年ほど前までは久慈川と合流していたが、久慈川河口付替工事により旧河川敷が埋立てられ、茂宮川の川口は直接日立港内に注ぐ形になっている。
(出展:「ひらけゆく日立みなみ」地域マップ作成委員会、「日立みなみ風土記」日立みなみ歴史民俗研究会編より抜粋)
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