127 長者山遺跡調査成果現地説明会

 2009年 (平成21年) 9月 5日 長者山遺跡 (日立市十王町伊師) の発掘 現場において今年度の調査成果の説明会が開催され 約80名が参加した。

 長者山遺跡は十王町史編さん事業の調査のなかで、2007年 (平成19年) に愛宕神社境内で発見された。 愛宕神社周辺は『常陸国風土記』多珂郡の条に記された 藻島駅家(めしまのうまや)の有力な候補地の一つである。 藻島駅家は 719年 (養老3年) から 811年 (弘仁3年) まで設置されたと記録にある。

 2005年から2008年までの調査で、長者山遺跡には古代の道路が通っていてその東側に堀に囲まれた施設があったことが わかってきた。〔神社の西側と北西側の古代道路跡・堀は南北の長さ130mの長方形・堀の内側に4棟分の建物の基礎跡・複数の掘建て柱の建物跡〕

 2009年度の発掘調査成果の要旨
[調査区1] 掘建て柱の建物跡の規模と構造がわかった。周辺から出土する遺物は8世紀のもの。
[調査区2] 古代道路の西側側溝が見つかった。古代道路跡の東側で 堀跡も確認された。
[調査区3] 柱を据えるための礎石が碁盤状に見つかった。礎石は火を受けて変色している。
[調査区4] 小高いところが古代の建物跡であることがわかった。出土した遺物は10世紀のもの。
穴を掘って柱を建てた建物跡と 礎石の上に柱を建てた建物跡では 建てられた時期が異なることがわかった。

長者山遺跡現説
早川職員による調査区1 の現地説明

( 情報提供:日立市郷土博物館  写真撮影・文責:吉田 稔 )

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