神田、田中内、茂宮、児島などは、かつて河川の流路からまぬがれた微高地の自然堤防を、たくみに利用して小集落を作っている。これらの小集落の一軒一軒は、しい・たぶ・しらかし・杉・ひば木・竹などの樹木を屋敷の周りに植えた屋敷林によって囲まれている。 この屋敷林は主として冬季日光颪・真弓颪と呼ばれる西北の季節風から、家を守るためのものと、洪水時流木や異物が直接家屋に当るのを防ぐうえで大変に役立っている。また、夏は涼しく、冬は暖かいなど屋敷林の効果は大変に大きいものがある。 真弓の山並みを背景として、その前面に広がる広々とした平坦地に、小集落を囲むように常緑樹を主体とする屋敷林が点在している風景は、茂宮川周辺から久慈川下流低地帯の独特の田園風景である。
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