コロナ禍に思うこと

宇梶 秀夫   
令和2年11月22日
 今年3月の頃だったろうか、テレビコメンテーターが新型コロナウィルスの感染対策が百年前と変わらないじゃないかと言った。その時は何のことかと思った。感染者を隔離しているだけだと言っているようだ。百年前というのはスペイン風邪のことで、昭和49年に発表された有吉佐和子著小説『鬼怒川』にも載っている。物語は感染者が持ち込んだ古地図から埋蔵金探しに親・子・孫の3代に亘ってとりつかれた話しである。
 新型コロナウィルス感染は世界中に広がりパンデミックの状態が続き、鎮静の見通しは不明である。世界の国で隣国の台湾は感染者が少ない。昨年末の段階で中国の武漢で原因不明の肺炎が広がっていることを知ると、即座に検疫の強化を実施した。現在、台湾の感染者数は500人程度に抑えている。これは2003年に流行したSARSの経験が活かされた結果だという。
 厚生労働省は新型コロナウイルスの感染を防止するために密閉、密集、密接を避けるように提言している。これは「3密」の言葉で徹底している。英語では”Three Cs”といわれ、それぞれclosed spaces、crowded places、close-contact settingsの頭文字の”C”の三つというようである。個人ではマスク着用、手洗いと手の消毒が基本であるが、食事の栄養バランスや規則的な生活とストレスを貯めないなど、気をつけている。特に外出時にはエチルアルコールベースの消毒液の携帯、買い物では店に備えた消毒液で出入りの度に手を消毒をしている。
 新型コロナウイルス感染症は高齢者や基礎疾患がある人に重症化しやすいリスクがあるという。これは免疫力が加齢と共に低下するからである。免疫にはB細胞とT細胞があり、B細胞が抗体を産生し、T細胞は免疫学的な記憶を担う。ウィルスが体内に侵入するとこれを見分けるT細胞の記憶力が低下すると、B細胞により感染力を低下せるタイミングを失うのである。
 新型コロナウィルスの怖さは、感染しても直ぐに症状が出なく感染力があるので、本人は気づかなずとも他の人に感染させてしまうのである。症状が進み免疫細胞の過剰反応がおきると、健全な自分の細胞を攻撃してしまうので、個々の治療に負担が増大してしまうのである。
 新型コロナウィルスのワクチンの適用実施も間近い。集団免疫は60%以上の人に免疫ができればコロナの収束が期待できる。とにかく、これからも感染者が多く出ている地域との人の往来は慎重にして、マスクせず、人と楽しく接することができる生活に早く戻りたい。