タネの発芽力

宇梶 秀夫
令和元年9月
 最近家庭菜園の苗はタネから育てることが多くなった。種苗メーカーのタネの量は、小さな家庭菜園では沢山余ってしまう。余ったタネはその袋に書かれている有効期限が切れるから、これまでは処分していた。しかし残ったタネは袋のまま封をしておき、翌年播くのである。種苗メーカーが書いた有効期限が過ぎても、芽は出るのがわかったからである。 タネが残っても翌年、使えるとなると今まで苗で購入してきたものもタネから育てる方が楽しくなる。例えば、小松菜のタネの有効期限が2014年10月だったが、5年後の今年9月に播いたところほぼ全部発芽した。春菊は昨年10月で有効期限が切れているが、今年8月に播いてこれも良く発芽している。このようなことが分かって、これまで苗で買っていたオクラやパセリなど数本あれば足りるが、タネを買って数粒使い残りのタネは来年使えれば、思うように苗が作れる。
 パンジーは10年以上前から夏にタネを播き育てている。パンジーの発芽温度は20℃前後、そのため保冷容器に保冷剤を入れて冷やす。毎日保冷剤を取り替える。今年、タネの有効期限が昨年で切れた残りのタネを播いてみた。8月半ば過ぎに播いたが10日経っても発芽の様子がない。パンジーの有効期限は本当なのかもしれない。直ぐにパンジーの種を購入、8月末に播き直した。今年購入した種では、10日ほどで播いたタネの半数近く芽が出た。パンジーは発芽が均一でない。日中は明るく涼しい部屋に、夜間は保冷をすることにしている。改めてパンジーの種の袋を見ると、播くまでは開封しないと注意書きがあった。パンジーだけはタネの有効期限は守る必要があるようだ。
 年をとると月日の経つのが早く感じる。NHKテレビの人気番組でチコチャンがこの説明をしていた。これはときめくことが少なくなるからだという。野菜や草花のタネを播き、芽が出たかどうかと毎日、苗床の土を見るのは小さなときめきかもしれない。