86.1 「古銭調査会」(改)
1964年(昭和39年)頃、中里中学校の移転造成のため、里川に面する字中島の整地中に発見された東河内町中島出土銭は、その後日立市郷土博物館に収蔵されました。
中島出土銭が地中に埋められた時期は、15世紀後半以降と推定されます。銭の種類は、北宋銭や明銭が主ですが、古瀬戸の容器に入れられており、埋納当時は3千枚以上あったと考えられます。
詳細な調査のため、2001年12月から日立市郷土博物館の榎本実さんと博物館ボランティアによる「古銭調査会」が発足しました。2002年末までに終了することを目標に、毎週1回研究会を開いて、調査活動を進めています。
調査の方法は、1枚1枚の銭貨について、(1) 緑青のクリーニング、(2) 宋通元宝などの銭銘の判読と分類、(3) 楷書・篆書など銭種の細分、(4) 寸法・質量の計測と表裏の観察表、(5) 代表銭貨の拓本、など。
詳細な検討が進めば、銭貨自体の研究はもとより、日立市地域の中世の埋納銭の性格や、流通・商業の歴史研究の基礎史料の一つとなることが期待されます。
ボランティアによる古銭の調査
参考資料:内山 俊身 「東河内町中島出土銭」 市民と博物館 第48号 (1998年10月30日)
【補遺】
「古銭調査会」による調査は2003年4月に終了しました。調査結果とその考察については下記を参照下さい。
茨城県立歴史館主席研究員 内山 俊身〔特別寄稿〕
「東河内町中島出土銭について」 郷土ひたち 第54号 (2004年3月)
( 情報提供:吉田 稔 )
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