第二話 白いきつねのたたり
むかしむかし、会瀬小学校の南側の森に白いきつねが住んでいました。月に一度、森からでて広い田のあぜ道を通り、あゆ川の川口に行きました。そこには、白山神社があります。田のかみ様であるお稲荷様(いなりさま)のお使いとして出かけていくのです。
ある夏の夜のことです。近くに住むおとうさんとおかあさんが田に水を入れるため犬をつれて田にでかけました。暗いあぜ道でとつぜん犬が何かにおびえたようになきだしました。犬は一歩も動かずに悲しい声でなきやがてうずくまってしまいました。気が強いおかあさんがまわりをみると白いきつねがとびだしてくらやみに消えました。 びっくりしておとうさんをよびましたがだれもいませんでした。恐ろしくなって急いで家にもどったら、おとうさんは青い顔をしてふるえてうずくまっていました。そのまま、なにもしやべれなくなって寝こんでしまいました。ときどき変な声をだしますのでおかあさんはしんばいしてお稲荷様におまいりしました。すると、白いきつねがあらわれて「犬にじやまされてかみ様のおつかいができなかった罰だ」「なおしてもらいたかったら毎月の一日、朝早くだれにも見つからないようにしてお稲荷様におまいりにきなさい」といいました。 おかあさんは月の最初の日にお赤飯と油らげを持って、朝早くおまいりしあとも見ずに帰ってきました。十二回ほどおまいりしたころには、おとうさんは口も聞けるようになり歩くこともできるようになりました。 |
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