「いはらき」 1990-1-7版より  日付・表現は当時のまま、
写真と青字説明は1998-7-19に撮影のビデオより
(小田切)

旧宅を憩いの家に

自費で改修、開放   土蔵に貴重な書画骨とう




日立市下土木内町の農業、会沢貞男さん(76)方で、大正時代の旧宅を改修、地域の「憩いの家」として先月から無料開放している(注)。併せて、敷地内の倉庫に江戸時代からの農機具、工具を展示。新たに建築中の土蔵には、徳川斉昭公や藤田東湖の書など貴重な書画骨とう品を並べている。会沢さんは「実際に使い、手に触れてもらいながら地域の人たちが交流を深めてくれれば」と期待を込めている。 (注)現在閉館中です。





 会沢家は江戸時代に水戸藩の横目付や庄屋を務めた由緒ある家柄。寺子屋を開いていた時期もあり、約9,900uの敷地内には、旧東小沢小学校や旧東小沢村役場もあったという。

「憩いの家」になった旧宅は大正5年の建築。居宅として使っていたが、ここ10年ほどは無人だった。一時は壊すことも考えたが、「まだ十分住めるし、修理をして地域に有効に使ってもらおう」と自費で大幅に改修。畳や障子を取り換えて先月10日に一般開放した。






竪穴式住居の復元は市内の
老人会の熱意と協力で完成した




建物は木造平屋建て、かやぶき、約148u。八畳の和室2間と六畳の同1間、十二畳の板の間がある。五右衛門ぶろや自在かぎのついた囲炉裏(いろり)、かまども整い、大正12年ごろの裸電球やランプもそろっている。すべて実際に使えるため、アンティークマニアに喜ばれそう。「まき四、五年分はたっぷり、踊りやカラオケにも使用できます」と会沢さん。



居宅わきの二階建て倉庫(約66u)には、江戸時代から最近までの農機具、工具、民俗資料約350点を展示した。戦前に作られたという日本最初の全自動もみすり機、田植機、脱穀機、鋤(すき)、鍬(くわ)、万能から織機、糸繰機など民俗学的にも貴重なものばかり。

居宅裏には二階建て約50uの土蔵を建築中、外装を残すだけで今春には完成の予定だ。内部には徳川斉昭、藤田東湖、山岡鉄舟、武田耕雲斉の書、五島耕畝の花鳥図、書籍「大日本史」のほか、壷や掛け軸など骨とう品が多数展示されている。

土蔵には斉昭、景山ほか、
収集家には垂涎の書画ばかり
がずらりと展示されている



会沢さんは「何といっても物が多すぎるので…」と笑う。まだ並べ切れずに重ねてある農機具も多いため、いずれは年代別、用途別に工夫しながら展示したいという。「『憩いの家』の庭には自転車置き場を設け、サイクリングがてら市民が気軽に立ち寄れるようにしたい」とコミュニケーションの場づくりに夢を膨らませている。


展示されている武具や、
用具に家柄が偲ばれる


旧宅、展示物 :閉館しています。



約30人の市内の歴史研究の同好会の人たちのために
熱心に「くじまち」の歴史をご講義される會澤さん(85才)




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