水 −マイナスイオン不足−

宇梶 秀夫
    自分が育った所は、大きな藁屋根の家だった。この屋根の素材は、多くは稲藁が使われていた。屋根の天辺に棟があり、その両端、瓦屋根で云えば鬼瓦が取り付 けられる位置、そこに大きく『水』という一文字を、鋭く彫り込んで墨で染めてあった。特に、屋根を葺き替えした時に、目立っていた。この文字『水』は、こ の家を火から守る祈願の意味があったと思う。ここでは、この大事な『水』をテーマとした。

 我が国、日本は水に恵まれている。どこの地でも生水が飲めるし、美味しい。各地に名水があり、愛好家も多い。自然な水は、プラスイオン、マイナスイオン のバランスのとれた中性の水であり、人体の健康に必要な水である。ところが、環境汚染、酸性雨、紫外線でマイナスイオンが減少しているそうである。さら に、水道水はカルキや塩素処理などの浄水処理によって、マイナスイオンがかなり放電してしまっている。そのため、人体もプラスイオンが多くなっていて、健 康や疲労回復に影響が出易いそうである。このため、マイナスイオンを身体に意識的に補給することが必要である。レジャーでは、落差のある滝に行く、ラジウ ム温泉に入る、午前中に森林浴をする等々がマイナスイオンの補給に有効だそうだ。

 こんなこともあって、スーパーで電子水なるものをサービスしている所があるので、最近これを利用してみている。これは、飲用水にマイナスイオンを供給し たもので、自然の水に近づけたものである。電子水は水分子(クラスター)が小さいので、身体にすばやく吸収され、体液の清浄化に効果があると云っている。 この水は、まろやかで、お茶やコーヒーの味が良くなる感じがする。昔、パワーがあるという寿司屋のおやじさんがやってくれたことがある。それは、水道水を 汲んだコップに指先からパワーを出し、その水で水割りを飲んだ。その時の喉越しの記憶と似ていて、今の電子水は飲み口が良い。この人から出たパワーは、マ イナスイオンを加える力だっただろうか。