病名の話し
 樫村 篤
 皆さんが何処かに異常を感じたり、又は定期健康診断等で診断した先生から、診断結果を告げられる場合、例えば血圧が正常値を超えていた場合など、あなたは高血圧症とか、または他の病気などの場合、尿毒症、糖尿病、腎臓病、動脈硬化症、心筋梗塞 等、病名について末尾に“症”が付くときと“病(やまい)”がつく病名と、大 きく分けて二つの表現で告げられていると思い ますが、おきずきですか?

あらためて一つは病名の後に”病”のつく場合ともう一つは、”症”のつく場 合、例えば本態性高血圧症、尿毒症、自律神経失調症、狭心症、そして病(やまい)のつく病名として、糖尿病、血友病、ものの例えに大事な事を、よく肝心なところが・・・・と言う場合の、心臓病、肝臓病、腎臓病等、

これ等の病気を高血圧病とか狭心病といわないし、叉反対に糖尿症とか腎臓症と もいわない。これは多分に漢字の表現の豊かさと、漢字が中国から日本に渡って来たと同時に中国の病気に対する考え方が渡って来たのではないかと思います。そのヒントは漢字の成り立ちを見てみると、見えて来るような気が致します。

病気の“病”を分解して見ますと、ご存知の様に“やまいだれ”と“丙”で構成され、“やまいだれ”は人がやまいの為、木によりかかり耐えている様を表現した象形文字であり、“丙”の文字は、昔、通信簿の評価に甲乙丙と言う様に三番目の意味と、読みの音では“さかんな”と言う意味と、火の燃えて広がるさまの意味があり

これらを組み合わせて、病気の状態を実に良く表現していると思う。一方“症”は意味として、病気のしるし。病気の徴候。それぞれの病気の外にあらわれた特色等、病気によって現れた現象をとらえて表現したのではないかと思います。

ここで皆さん“病”のつく病気の患者さんと、“症”のつく患者さんを比較して見て下さい。何処か違う事に気が付かれると思いますが、どうですか。この様に漢字から病名を見てみると、いろいろな事が見えて来ると同時に中国人の表現の素晴らしさには、おどろくばかりですが、皆さん如何ですか

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