仏の浜
 常陸国風土記に「常陸の国守(こくしゅ)川原宿禰黒麻呂(かわらのすくねくろまろ)の時に、大海のほとりの石壁に観世音菩薩の像を彫った。今ものこっている。それで仏の浜とよばれている」とあります。
 日立市田尻町の田尻小学校の南側の岩壁に度志(どし)観音が彫られています。このことから仏の浜はこの地として、当時の日高村から史跡指定の申請がされました。昭和30年に県指定史跡「佛の浜」となりました。しかし、常陸国風土記は地域の順を追って記述され、「仏の浜」は「飽田の村」と「藻島の駅家」の間にあって、さらに「大海のほとり」は海の近くということで、小木津町の東連津川の河口が「仏の浜」だという説があります。
    ・期日 令和元年5月22日(水)
    ・場所 日立市田尻町、小木津町
    ・取材 きららホームページの会(内藤、佐藤、近藤、宇梶)
田尻小学校の南側の岩壁に度志観音が彫られています。写真の鉄の扉の格子から中に覗くと壁に描かれたものがあったようにも見えます。日立市宮田町の天童山大雄院は、南極寿星(なんごくじゅしょう)禅師(ぜんじ)がここ度志観音堂に百日間参籠して文明2年(1470)開山したということです。
日立市小木津町の東連津川河口です。ここが仏の浜とみられます。写真は東連津橋から河口を見たものですが、左がわ崖の写真よりさらに左に像が彫られています。
東連津川の河口にある岩壁に観世音菩薩と見られる磨崖仏があります。観世音菩薩が彫られた7 世紀末、陸奥国の蝦夷が不穏な動きをみせていたので、観世音菩薩に鎮定の助力を願ったものと考えられています。
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